経済学関連の文献について

以下の情報は作成者が大学院生時代(2003 年以前)のものです. 内容は若干古くなっていることをご承知ください.
[ご参考までに]
この手の情報は，Amazon.co.jp の書評にも良いものがあります.
ただし，勉強のための教科書選びは「好みの問題」ですから，実際に手にとってみてご自身で判断してください.



　著者が読んだ，読んでいる，または持っている文献の書評(というよりただの感想)と関連情報のリンク集です.
 

計量経済学の Special Topics

パネルデータ関連

Arellano, M. (2003). Panel Data Econometrics, Oxford University Press.

　コメントは近日中にアップ予定.

Baltagi, B. H. (2001). Econometric Analysis of Panel Data, 2nd. ed., John Wiley & Sons.

　コメントは初版(1995)に関してです. 第 2 版のコメントは近日中にアップします.

　大学院での講義に用いることを想定して書かれたパネルデータ関連唯一の教科書. 各章末に練習問題などもついている. この分野で中心的な存在である著者が「標準的」と考えたトピックがコンパクトにまとめられている. 質の高い実証分析を行っている著者だけに，記述も実践的であり，応用例も豊富.

　Baltagi (19??)，Baltati, et al. (19??) が頻繁に例に出てくるのは，御愛敬か？「やけにマニアックな検定量にこだわってるなあ」と思っていたら，案の定，Baltagi 教授の業績でした. 教授御自身は理論家としての側面も持っていらっしゃるようです.

　前半部分はかなり良くまとまっていると思うが，5 章あたりから論文の解説の羅列になってしまう. 要するに「詳しくは see Baltagi (19??).」ということのようです. Greene (2000) 同様に優秀な教師の指導の下でトピックを取捨選択していく読み方がふさわしいと思う.

Hsiao, C. (2002). Analysis of Panel Data, 2nd. ed., Cambridge University Press.

　コメントは初版(1986)に関してです. 第 2 版のコメントは近日中にアップします.

　パネルデータ関連の定番中の定番. ぱらぱらと眺めたときには「フムフム」と読み飛ばしていたが，じっくり読むと非常に深いことが書いてあるようだ. 行列をあまり使わずに記述しているところが，一見とっつきやすく感じるが，計算の経過などはほとんど省略されているので，かえってわかりにくくなっていると思う. The Econometric Society Monograph Series の一冊. 出版社による内容紹介はここにある.

Lee, M.-J. (2002). Panel Data Econometrics: Methods-Of-Moments and Limited Dependent Variables, Academic Press.

　コメントは近日中にアップ予定.

Matyas, L. and P. Sevestre, eds. (1996). The Econometrics of Panel Data: A Handbook of the Theory with Applications, 2nd. Revised ed., Kluwer Academic Publishers.

　パネルデータ分析の中心的な学者達が，みずからの専門分野を担当して書いた研究書. 上記 Baltagi 教授，Hsiao 教授ももちろん一章を担当していらっしゃいます. 著者によって解釈が異なる部分もあるようです. 前半の理論部分は1992年に出版された初版と同じ. 後半の応用例の中に書き直されたもの，追加されたものが含まれているようです. Chap.33 の Software Review (Blanchard, P.) では，パネルデータを用いた分析に一般的計量分析ソフトウェアを使う際のちょっとしたコツを紹介している. 出版社による内容紹介はここにある.

Wooldridge, J. M. (2001). Econometric Analysis of Cross Section and Panel Data, The MIT Press.

　コメントは近日中にアップ予定.

　出版社による内容紹介はここにある.

時系列解析関連

Hamilton, J. D. (1994). Time Series Analysis, Princeton University Press.

　Time Series の定番とされる教科書. 驚くほど大部の本. 米国教科書業界のしきたりを守り，self-contained（自己完結的：その本を読むために必要な知識は，すべてその中で解説する）を旨として書かれているようである.

　数式の展開をやたら詳しく載せていることが特徴的. そのため，ついつい，「ああ，そう・・・」で読み進んでしまう. 長い計算をしているうちに「なんのはなしだっけ？」と思うこともしばしば. 出版社による内容紹介はここにある.

Enders, W. (1995). Applied Econometric Time Series, John Wiley & Sons.

　コメントは近日中にアップ予定.

　出版社による内容紹介はここにある. RATS ユーザーのために著者自身による RATS Handbook for Applied Econometrics (John Wiley and Sons, 1996)がある.

山本拓 (1988). 『経済の時系列分析』 創文社, 現代経済学選書.

　邦語で書かれた教科書としては，定番中の定番. チャートやグラフによる解説が比較的多いことが特徴的. Hamilton (1994) と対照的で，「時系列解析ってナニ？」という疑問に，直観的に答えることを目的に構成されている.

　ただし，この分野はいまだに発展段階であるため，10年以上前の本となると，ややトピックが古い感がある. しかし，基本事項を押さえるという意味では優れた教科書である. 「なんで？」と思いながら読むと「分かったような気」になることが出来る.

Seemingly Unrelated Regessions (SUR)

Srivastava, V. K. and D. E. A. Giles (1987). Seemingly Unrelated Regression Equations Models: Estimation and Inference, Marcel Dekker, Inc.

　実証研究でおおいに用いられる SUR(seemingly unrelated regression)を真正面から取り扱った貴重な文献. 数式の展開を詳しく載せているので，自習も可能だと思う. ただし，タイプライター文字でかかれているので，添え字なんだか，掛けているんだか，行列なんだかスカラーなんだか，一つ一つ解読作業が必要. 日本語文献ではあまり取り扱われることがないので，その補足としても利用できると思う.